皆さん、こんにちは。
今年の秋は秋雨前線で、毎日うっとうしい日が続いておりましたけれども、今日は青空も覗いて秋らしい季節になってきました。尾崎翠のファンの皆さんが、こうしてたくさん岩美町に集まってくださいました。全国から募集した追憶ツアーの方々は、40名にものぼっています。インターネットで受け付けを開始したら、各地から続々と申し込みがあって、定員を越えたために締め切ったと伺っています。
尾崎翠の詩の中に「新秋名果」というのがあります。ちょうどこの時期を彼女が詩に詠んでいるわけです。
ふるさとは/映画もなく/友もあらず/秋はさびしきところ。
母ありて/ざるにひとやま/はだ青きありのみのむれ/われにむけよとすヽめたまふ/「二十世紀」
ふるさとの秋ゆたかなり。
むけば秋/澄みて聖きふるさと。
はつあきのかぜ/わが胸を吹き/わが母も/ありのみの吹きおくりたる/さやかなる秋かぜの中。
この「ありのみ」は梨のことです。この梨、なしっていう呼び方を嫌う考え方がありました。実はちょうど同年代の私の祖母、40年前に亡くなりましたけど、梨は「ありの実」と言うべきだといつも言っておりました。この時期、梨の時期になると、祖母のこと、そしてまた尾崎翠さんが詩にありのみを詠んでいることを、いつも思い出します。
昨年まで、尾崎翠フォーラムが15回、土井淑平さん、岩谷東亜先生、西尾雄二さんなど、実行委員会の多くの方によって、ずっと続けて来られました。今日、追憶ツアーの方にはお配りしましたが、15回のフォーラムの講演などを監修して、今井書店さんにご協力頂き、『尾崎翠を読む』全3冊が出来上がりました。岩美町にとって新しい宝がまた一つ出来たと思っております。
今後、尾崎翠を故郷の町としてどのように顕彰していくか考える機会にしたいと思って、今回の「尾崎翠と、追憶の美し国へ」というイベントを開催した次第です。
遠方からお越しの皆様もいらっしゃいますので、少しだけ岩美町の宣伝をさせて頂きたいと思います。
平井知事流に申し上げると「スタバはないが砂場はある」の鳥取大砂丘の東隣で、町の東側の兵庫県との県境に挟まれた町であります。そして「金は無いけどカニはある」、実は松葉カニを捕る船が鳥取県には26隻ありますが、そのうち20隻は岩美町の船です。この頃は境港の方に水揚げされますけれども、船で数えると日本一の松葉カニをとる町です。
また「田舎暮らしの本」という宝島社が出版する、田舎志向を取り上げている月刊誌がありますが、岩美町がベストランキング、全国1位に選ばれました。非常に恵まれた美しい自然環境と共に、おいしいものがある、そして福祉の面も、教育の面も、きめ細やかに行き届いている、という評価を頂きました。訪れる方々に町民の皆さんが本当にやさしく接して頂いていることも評価をされたと思っております。
全国ベストランキング1位に恥じない町作りを、これからも町民の皆さんと一生懸命取り組んでいこうと考えているところです。全国ツアーでお越しになった皆さん、初めての方もたくさんいらっしゃると思いますけれども、ぜひまた、別の機会に、それぞれの季節に、足を運んで頂いて、出来れば岩美町に住んで頂きたいと思っております。
明日は尾崎翠ゆかりの地を巡って頂くことになっていますが、岩美町の秋を満喫して頂き、思い出になるツアー、そしてイベントになることを御祈念申し上げて、歓迎のご挨拶に代えさせて頂きます。ようこそお越しくださいました。ありがとうございます。